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コラム なぜ巧妙なフィッシングメールに騙されるのか?事例から学ぶ、これからのセキュリティ対策


なぜ巧妙なフィッシングメールに騙されるのか?事例から学ぶ、これからのセキュリティ対策

近年、企業を狙ったサイバー攻撃は増加の一途をたどっていますが、その中でも「フィッシングメール」は特に巧妙化・高度化が進んでいます。かつては不自然な日本語やデザインの粗さで見抜くことができたものも、現在では自然な日本語、精密なブランド模倣、もっともらしいレイアウトを備え、本物と見分けがつかないほど洗練されてきました。

本コラムでは、最近の高度なフィッシングメールの実例を紹介し、従来の「ユーザー教育」だけでは防ぎきれない脅威構造と、その対策としてIT部門が注目すべき「メール経路」などの技術的なシグナルの重要性について解説します。

このコラムのポイント

  • 巧妙化したフィッシングは内容や見た目だけでは判断できない
  • 実例では、メール送信経路の不自然さが、フィッシングメールであると見極める重要な判断材料となった
  • ユーザー教育だけでなく、技術的な多層防御が企業に求められている

1. 高度なフィッシング実例紹介

本コラムで紹介するのは、2025年3月6日に実際に受信が確認された、極めて巧妙なフィッシングメールです。このメールは、表示名や送信元情報が偽装されており、極めて自然な日本語で書かれていました。さらに、日系有名ブランドのロゴやデザインを精密に模倣しており、ITリテラシーが高い方でも偽物と見抜くのが困難なレベルでした。

実例①:有名カード会社を名乗る「3Dセキュア認証更新」メール

メールの内容

このメールは、日系有名ブランドのカード会社を名乗り、「セキュリティ強化のため、3Dセキュア認証を至急更新してください」と要求する内容でした。

この手口のポイント

公式ロゴや自然な日本語で信頼性を高めつつ、危機感を抱かせて即時対応を促します。

  • 自然な日本語:
    日本人従業員が作成したかのような、丁寧で自然な文章
  • 公式通知を模倣したデザイン:
    公式のロゴを使い、本物の通知メールと遜色ないレイアウト
  • 信頼性の悪用:
    東南アジアでも利用者の多い実在するブランドを悪用
  • 不安の喚起:
    「期限内に更新しないとカードが利用制限される」といった文言で受信者の不安を煽り、即時対応を誘発

攻撃者の狙い

攻撃者の最終目的は、3Dセキュアの認証情報(ID、パスワードなど)を窃取することです。受信者に本物の公式サイトだと誤認させ、偽の認証ページへ誘導し、そこで入力された情報を盗み取ります。

実例②:105,690円の「利用通知」を装った高緊急度メール

メールの内容

こちらは、「105,690円のカード利用が発生しました」という自動通知メールを装ったものでした。

この手口のポイント

高額な請求を提示し、受信者の心理的な「焦り」を誘発させクリックへ誘導します。

  • 高額な請求
    「105,690円」という身に覚えのない高額な請求を提示し、動揺させる
  • 巧みな誘導
    「ご利用の覚えがない場合は下記リンクからご確認ください」と、確認・キャンセルのための唯一の手段であるかのようにリンククリックを促す

攻撃者の狙い

攻撃者は認証情報やカード関連情報を窃取し、カードの不正利用を目的としています。メールの受信者が焦ってクリックした先で入力してしまった情報を用います。

2. 共通する問題:ユーザーに「見た目判断」を要求する限界

これらの実例に共通するのは、もはやメールの「内容」や「見た目」だけで真偽を判断することが極めて困難になっているという事実です。

業務に追われる中で、受信するすべてのメールの真偽を都度慎重に確認するのは現実的ではありません。さらに、文章の自然さやブランドロゴの再現度が高いため、セキュリティ意識の高いユーザーでさえ誤認してしまうリスクがあります。

私たちはすでに、「メールの内容だけではフィッシングを見抜けない時代」に突入していると認識する必要があります。

3. 分析の決め手になったのは 「メール経路の可視化」

では、IT部門はどのようにしてこれらの巧妙なメールをフィッシングだと見抜いたのでしょうか。決め手となったのは、ユーザーには見えない技術情報、特に「メールの配送経路(ルーティング)」の分析でした。これらの情報は、通常ユーザーがメールソフト上で確認できるものではなく、メールヘッダ解析など専門的な確認を通じて初めて把握できます。

2通のフィッシングメールに共通した不自然な点

日本のブランドを騙るメールにもかかわらず、最初の送信元は海外(中国)でした。「海外拠点(インドネシア)で受信した、日本のブランドを名乗るメール」という文脈において、中国から多国籍経由で届くというルートは極めて不自然です。

また、通常のメールが3〜4程度のサーバーを経由(ホップ)するのに対し、これらのメールは5〜7のサーバーを経由する複雑な経路をたどっていました。通常のホップ数は、転送設定やゲートウェイ、クラウドサービスの利用状況などの環境要因によって増減します。重要なのは「多い/少ない」ではなく、自社の平常系(ベースライン)と比べて不自然かどうかです。

なぜ経路情報が重要なのか

メールの経路情報(ルーティング情報)は、ユーザー教育だけに依存しない、新たな防御レイヤーとなり得ます。その理由は以下の3点です。

  • 「見た目」では正常に見えるメールでも、ルーティングの異常という客観的な根拠に基づいて判断できます。
  • IT部門やセキュリティ担当者は、ユーザーからの通報を待たずに異常を検知し、迅速な調査や注意喚起といった初期対応を開始できます。
  • 従来のユーザー教育だけに頼るのではなく、技術的な分析を加えることで、多層防御でより強固な防御体制を構築できます。

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4. 検証はリンクではなく必ず公式情報を使う

もしフィッシングの疑いがあるメールを受信した場合の鉄則は、メール内のリンクをクリックせず、自分で公式サイトから確認するということです。

実際に、金融機関やカード会社の公式サイトでは、フィッシングメールに関する注意喚起が公開されていることがあります。そのような公式の情報と照らし合わせることで、受信したメールがフィッシングメールかどうかを判断することもできます。

検証の鉄則を社内ルール化する

ユーザー側で簡単に対策できることは、社内ルール化して徹底することで、フィッシングメールの被害防止につながります。

社内ルール例

  • メール内のリンクは絶対にクリックしない。
  • ブックマークした公式サイトや公式アプリから、自分でログインして情報を確認する。
  • 不明な点があれば、公式サイトに記載されている正規の問い合わせ先(電話番号や問い合わせフォーム)を利用する。

5. まとめ:企業はどのように対応すべきか

現代のフィッシングメールは、「自然な日本語」と「高精度のブランド模倣」が当たり前となり、インドネシアをはじめとする海外拠点においても、日本人をターゲットにした日本語のフィッシングメールが大量に発生しています。

このような状況下で、企業が取るべき対策は以下の通りです。

  1. ユーザー教育や注意喚起を継続しつつ、それだけでは防ぎきれない限界があることを認識する。
  2. ユーザーには見えない技術情報を活用し、システム側で不審なメールを検知・フィルタリングする仕組みを導入する。

フィッシングメールはもはやユーザーの意識だけでは防ぎきれません。個人の注意深さに依存する体制から脱却し、技術的なアプローチを組み合わせた多層的な防御体制を構築することこそ、進化し続けるフィッシングの脅威から企業を守るための鍵となります。

「自社のメールセキュリティに不安がある」「最新のフィッシング対策について詳しく知りたい」といった課題をお持ちでしたら、ぜひ一度KDDI Indonesiaにご相談ください。
メール経路の可視化を実現する「Active! zone SS」をはじめ、総合的なメールセキュリティをご提供します。

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監修者

原 匠平(Shohei Hara)

2019年KDDI株式会社に新卒で入社。法人営業として5年間従事。
外資系企業および国内製造業を中心に、ネットワーク、クラウドをはじめとしたICTソリューションの提案活動を実施。
2024年よりKDDIインドネシアに出向。営業としてインドネシアへ進出されている日系企業向けのSI支援を行うとともに、マーケティング活動も担当。

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